右手に釣り竿、左手に大きな鯛を持ち、満面の笑みを浮かべるエビス様。七福神の中で唯一の日本由来の神様であり、漁師にとっては大漁を、商人にとっては繁盛をもたらすありがたい存在です。その笑顔は「えびす顔」と呼ばれ、見るだけで福が来ると言われています。
エビスの正体
不具の子ヒルコ説
国生み神話において、イザナギとイザナミの間に生まれた最初の子「ヒルコ(水蛭子)」は、不具であったため(骨がなかったとも言われる)、葦船に乗せて海へ流されました。このヒルコが漂着して神となり、戻ってきたのがエビスであるとする説が有力です。海からやってくる「寄り神(漂着神)」として、海の向こうの異界から福をもたらすと信じられました。
事代主神説
大国主の子である事代主神(コトシロヌシ)とする説もあります。彼が国譲りの神話において、釣りをしていた最中に神の使いがやってきたエピソードと結びつき、同一視されるようになりました。島根県の美保神社などはこの事代主神としてエビス様を祀っています。
十日戎と西宮神社
商売人の祭り
関西地方を中心に1月10日に行われる「十日戎(とおかえびす)」は非常に賑わいます。「商売繁盛で笹持って来い」という景気の良い掛け声とともに、福笹を求める人々で神社が溢れかえります。総本社である兵庫県の西宮神社では、一番福を目指して境内を走り抜ける「福男選び」が毎年開催され、ニュースになるほどの熱気です。
エビスビール
ブランドアイコン
サッポロビールのブランド「ヱビスビール」のラベルには、この神様が描かれています。数百本に一本の確率で、鯛を二匹持っている「ラッキーエビス」が存在するのも有名な話です。また、漁師の間ではクジラやサメのことを「エビス」と呼ぶこともあり、大漁をもたらす海の化身と恐れ敬われていました。
まとめ
辛いことがあっても笑顔を絶やさない「えびす顔」。その姿は、海のように広い心で福を受け入れるための極意を私たちに教えています。流された悲しい過去を乗り越え、人々に笑顔を届けるエビス様は、真に強くて優しい神様です。