七福神の中で唯一の女性の神様、弁財天(べんざいてん)。「弁天様」として親しまれ、銭洗弁天でお金を洗ったり、芸能上達を祈ったりしたことがある人も多いでしょう。しかし、彼女が元々はインドの**「激流の化身」**であり、武器を手に戦う戦闘神の側面も持っていたことはあまり知られていません。美と才能と富を兼ね備えた、最強の女神のルーツに迫ります。
河の女神サラスヴァティー
流れるものを司る
弁財天のモデルは、古代インドの聖なる河を神格化したサラスヴァティーです。水が流れる音から「音楽・言葉」の神となり、さらには「知識・学問」の神となりました。日本に伝わった際、水が豊穣をもたらすことから「財運」の神徳も加わり、「弁才天(才能)」から「弁財天(財産)」へと表記が変わっていきました。
8本の腕を持つ姿
、琵琶を持っている姿が一般的ですが、より古式な「八臂(はっぴ)弁財天」像では、8本の腕に弓、剣、斧などの武器を持っています。これは『金光明最勝王経』に基づく姿で、国家鎮護の戦う女神としての側面を表しています。
龍と結婚した女神
江の島の伝説
神奈川県の江島神社には有名な伝説があります。昔、鎌倉の深沢に五頭龍という恐ろしい龍がいて、人々を苦しめていました。そこに天から美しい天女(弁財天)が舞い降り、江の島を作りました。龍は天女に一目惚れして結婚を迫ります。弁財天は「悪行を止めて人々を守るなら」と約束し、龍は改心して守護神となりました。
嫉妬深い?
「弁財天の祀られている池でデートすると別れる」という都市伝説がありますが、これは彼女が嫉妬深いから……ではなく、元々が修行の場であったため「カップルで浮かれている場合ではない」という戒めから来ているという説が有力です。
日本三大弁天
神仏習合の極み
日本では神道の「市杵島姫命(イチキシマヒメ)」と同一視され、神仏習合が進みました。竹生島・江の島・厳島の「日本三大弁天」は、いずれも水辺の聖地です。
エンタメ作品での活躍
モンストなどのゲームでは、音楽を奏でる煌びやかなアイドル的キャラクターとして描かれることが多く、その加護(バフ)能力や、敵を魅力で圧倒する姿が人気です。
【考察】宇賀神との合体
蛇の神様
弁財天の頭の上に、鳥居と「とぐろを巻いた白蛇(老人の顔を持つ)」が乗っている像があります。これは日本独自の穀物神「宇賀神(ウガジン)」です。水神(蛇)と農業神の相性が良かったため合体したとされ、これにより「金運・商売」の御利益がさらに強化されました。
まとめ
芸術の才能も、豊かな財産も、すべては「流れ」の中にあります。弁財天は、その流れを堰き止めず、正しく循環させる知恵を授けてくれる女神なのです。