早朝の山間部や野原に幻想的に立ち込める霧。その正体とされるのが**天狭霧神(あめのさぎり)**です。山の神と野の神の間に生まれたこの神は、日本神話において自然現象がいかに細やかに神格化されていたかを象徴する存在です。
系譜と誕生
霧の誕生
イザナギとイザナミによる「神産み」によって生まれた、大山津見神(山の神)と鹿屋野比売神(野の神)。この二柱の神は夫婦となり、さらに多くの自然神を生みました。その中の一柱が天狭霧神です。対となる国狭霧神(くにのさぎり)と共に生まれました。
霧の役割
境界と潤い
霧は現世と常世(神の国)の境界を曖昧にする神秘的な現象です。また、適度な霧は植物に潤いを与え、五穀豊穣にも繋がると考えられました。「天」の名を持つことから、空に近い高い山の霧や、天候としての霧を司るとも解釈されます。
イメージされる姿
揺らぐ白い影
定まった形を持たず、白い靄(もや)のような衣を纏った男性的な神、あるいは霧そのものが意思を持ったような姿で描かれます。音もなく現れ、世界を白く包み込みます。
まとめ
登山やハイキングで霧に包まれた時、それは天狭霧神があなたの近くを通っているのかもしれません。自然の美しさと畏れを感じさせる神様です。