日本神話に登場する神々は、必ずしも日本列島で生まれたものばかりではない。天日矛(アメノヒボコ)は、海を越えて新羅(朝鮮半島)からやってきたとされる、エキゾチックな渡来の神である。
妻を追って日本へ
赤い玉から生まれた妻
新羅の王子であったアメノヒボコは、赤い玉から美しい女性(阿加流比売神/アカルヒメ)を得て妻とした。 しかし、彼女は「私はあなたの妻となるべき女ではありません」と言って日本へ逃げてしまう。 ヒボコは彼女を追いかけ、最終的に但馬国(現在の兵庫県北部)に定着した。
もたらされた神宝
先進技術の象徴
ヒボコは渡来の際、「玉津宝(たまつたから)」と呼ばれる数々の宝物を持参した。 これらは珠や剣、鏡、浪振比レ(なみふるひれ)などであり、当時の日本にとって貴重な製鉄技術や呪術的な知識を象徴していると考えられる。
土木工事の神
また、彼は円山川の治水工事を行ったという伝承もあり、泥海だった但馬盆地を豊かな耕作地変えた開拓の神としても祀られている。
【考察】古代の国際交流
渡来人グループの長
神話学的には、アメノヒボコは特定の個人というより、高い技術を持って移住してきた渡来人集団そのものを神格化した存在と見なされている。 彼とオオクニヌシが争ったという記述(播磨国風土記)は、先住勢力と渡来勢力の勢力争いを反映しているのだろう。
まとめ
天日矛は、古代日本がいかに海外からの技術や文化を受け入れ、発展していったかを物語る生きた証人である。