何かを決断する時、占いや吉兆に頼りたくなることはありませんか?日本神話における「占い」の元祖と言えるのが、**天太玉命(アメノフトダマ)**です。アメノコヤネとコンビで語られることが多い彼ですが、実は日本の「ものづくり」や「産業」を支える技術者集団のリーダーという、もう一つの重要な顔を持っています。神事(まつりごと)と政治(まつりごと)が一体だった古代において、彼が果たした役割とは?
祭祀の準備を取り仕切る
太占(ふとまに)の儀式
天岩戸の前で、アメノコヤネと共に雄鹿の肩甲骨を波波迦(ははか)の木で焼いて、そのひび割れの形で吉凶を占う「太占」を行いました。まじない的な言葉を担当したのがコヤネなら、具体的な儀式の**「実務・準備・遂行」**を指揮したのがフトダマです。彼は八尺瓊勾玉(やさかのまがたま)や八咫鏡(やたのかがみ)を榊(さかき)の枝にかけて掲げ持ち、アマテラスが出てくるお膳立てを完璧に整えたのです。
技術者集団「忌部氏」の祖
フトダマは、古代の祭祀で使用する道具(織物、木工、鏡、玉など)を制作・管理していた忌部氏(いんべうじ)の祖神です。中臣氏(アメノコヤネの子孫)が「祈り」担当なら、忌部氏は「道具・技術」担当。このため、フトダマは現在でも建設、建築、紡績などの産業の神様として信仰されています。ものづくりの魂は、この神様から始まっているのです。
安房神社と阿波忌部
千葉と徳島のつながり
フトダマの孫であるアメノトミは、肥沃な土地を求めて阿波国(徳島県)へ渡り、そこで麻や穀物を育てました。その後、さらに東へ進んで房総半島(千葉県)に到達し、祖神であるフトダマを祀ったのが**安房神社(あわじんじゃ)**です。「阿波(あわ)」と「安房(あわ)」の名前が同じ音なのは、この技術者集団の壮大な移動伝説に由来しています。
まとめ
派手な活躍は少ないものの、確かな技術と段取りで神事全体を支えた天太玉命。クリエイターやエンジニアにとって、彼は大先輩であり、心強い守り神と言えるでしょう。