タミング・サリ(Taming Sari) は、マラッカ王国の伝説的な提督(ラクサマナ)であるハン・トゥアが愛用したとされる「クリス(マレー特有の波打つ短剣)」です。その名は「花盾」や「美しい盾」を意味するとも言われます。この剣には不思議な魔力が宿っており、所有者は身体へのあらゆる物理的な攻撃を受け付けなくなり、無敵になると信じられています。
決闘による継承
ジャワの戦士との戦い
元々、このクリスはジャワのマジャパヒト王国の戦士タミング・サリの所有物でした。ハン・トゥアが決闘を挑んだ際、相手がこのクリスの力で不死身であることを悟り、知略を用いてクリスを奪い取りました。その瞬間、形勢は逆転し、ハン・トゥアは勝利を収めました。以来、この剣は彼のシンボルとなりました。
ハン・ジェバトの反乱
ハン・トゥアの親友ハン・ジェバトが謀反を起こした際、スルタンはこのタミング・サリをハン・トゥアに授け、討伐を命じました。かつてない悲劇的な親友同士の決闘において、無敵のクリスは王国の秩序を守るための刃となりました。
王権の象徴
ペラ州のレガリア
伝説上の武器の多くが行方不明になる中で、タミング・サリとされるクリスは現存すると言われています。現在はマレーシア・ペラ州のスルタンのレガリア(王権に付随する宝物)の一部として大切に保管されており、即位式などの重要な儀式でのみ、その姿を見ることができると言われています。
まとめ
タミング・サリは、マレー世界の武士道とも言える忠義と勇気の象徴です。その波打つ刃は、単なる殺傷能力を超えて、国家の主権と英雄の魂を現在に伝えています。