リア・ファル(Lia Fáil) は、アイルランド神話においてダーナ神族(トゥアハ・デ・ダナーン)が北方の都ファリアスから持ち込んだ「四つの至宝」の一つであり、「運命の石」を意味します。アイルランドの聖地タラの丘に設置され、歴代の上王(ハイ・キング)を選定する重要な役割を果たしました。
石の叫び
戴冠の儀式
この石の魔力は「正統性の証明」にあります。相応しい王がこの石に乗る、あるいは触れると、石はまるで生きているかのように大きく叫び声を上げ、その音が全土に響き渡ったと言われます。逆に、偽の王や資格のない者が触れても、石は沈黙を守ります。英雄クー・フーリンの養子ルガイが王になろうとした際、石が叫ばなかったため、クー・フーリンが激怒して石を剣で叩き割ったという逸話さえあります。
スクーンの石との関係
スコットランドの戴冠式に使われる「スクーンの石」と同一視されることがありますが、一般的には別物と考えられています。しかし、どちらも「石が王を選ぶ」という古代の信仰に基づいた同種の聖遺物です。
まとめ
リア・ファルは、権力が人間の恣意的なものではなく、土地と運命によって決められるものであるという、古代ケルトの主権思想を象徴する静かなる審判者です。