シヴァ神やその化身(バイラヴァ)が手に持つ、人間の頭蓋骨が刺さった長い杖。そのグロテスクとも言えるビジュアルの法具がカトヴァンガです。しかし、これは単なる恐怖の演出ではなく、もっとも深遠な哲学的意味を持つ神聖なアイテムなのです。
三つの頭蓋骨
三世の浄化
典型的なカトヴァンガには、干からびた髑髏、腐敗した首、生首の3つが串刺しになっているとされます(あるいは1つの髑髏)。これらは欲望・怒り・無知という「三毒」の死、または過去・現在・未来の三世を超越した境地を表しています。死を直視し、それを乗り越えた証なのです。
苦行者のシンボル
墓場での瞑想
元々は、墓場で修行する極限の苦行者(カパーリカ派など)が持っていた杖に由来します。彼らにとって肉体は儚い器に過ぎず、骨を身近に置くことは現世への執着を断ち切るための修行でした。カトヴァンガは、死という最大の恐怖さえも克服した、究極の解脱者のステータスシンボルと言えます。
まとめ
カトヴァンガの不気味さは、死という現実を誤魔化さずに見つめ、それを超えた永遠の真理に至ろうとするインド思想のラジカルな精神性を物語っています。