カルタリ(カルトリとも)は、チベット仏教の女神たちが手に持つ、鋭い曲刀です。半月状の刃に、ヴァジュラ(金剛杵)の柄がついたその形状は、元々は獣の皮を剥ぐための実用的なナイフ(スキニングナイフ)に由来します。しかし仏教においては、もっと抽象的なものを「剥ぐ」ために使われます。
自我の解体
執着を切り裂く
カルタリが切り裂くのは、人間の肉体ではなく「自我(エゴ)」や「無知」です。そして剥ぎ取るのは、真理を見えなくしている「執着の皮」です。恐ろしげな見た目は、悟りを得るためには、今までの自分を徹底的に解体しなければならないという厳しい教えを表しています。
カパーラとの対
破壊と受容
仏画や仏像では、右手にカルタリ、左手にカパーラ(頭蓋骨杯)を持った姿で描かれることがよくあります。これは、カルタリで迷いを断ち切り(破壊)、その結果得られた智慧の甘露をカパーラで受け止める(受容)という、悟りへのプロセスをセットで表現しているのです。
まとめ
カルタリは、自己変革のために必要な「痛み」を恐れずに振るう、慈悲ゆえの厳しさを象徴する法具です。