「トリスタンとイゾルデ」。ロミオとジュリエットよりも古く、より情熱的な悲恋の物語。媚薬によって主君の妻と恋に落ちてしまった円卓の騎士トリスタン。弓と竪琴を愛した、美しくも憂いのある騎士。
トリスタンとはどのような英雄か?
アーサー王伝説に登場する円卓の騎士の一人です。コーンウォール(リヨネス)の出身。叔父であるマルク王のためにアイルランドの王女イゾルデを迎えに行きますが、帰りの船で誤って「永遠の愛の媚薬」を二人で飲んでしまい、許されない恋に落ちます。彼は騎士としての忠義と、抗えない愛の間で苦しみ続けました。最後は瀕死の重傷を負い、イゾルデの到着を待ちわびながら死ぬ(あるいはマルク王に殺される)という悲劇的な最期を遂げました。
伝説でのエピソード
白い帆と黒い帆
毒に侵されたトリスタンは、海を渡ってくるイゾルデの船が、治療に来てくれるなら「白い帆」、来ないなら「黒い帆」を掲げるよう頼みました。船は白い帆を掲げていましたが、嫉妬深い妻(白い手のイゾルデ)が「黒い帆が見える」と嘘をついたため、彼は絶望して息絶えました。ギリシャ神話の影響が見られる有名なエピソードです。
音楽の騎士
彼は武勇だけでなく、竪琴(ハープ)の名手としても知られ、吟遊詩人のような側面を持っています。
後世への影響と言及
ワーグナー
リヒャルト・ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』は、この物語を究極の官能と死の賛美へと昇華させ、クラシック音楽史に革命を起こしました。
Fate/Grand Order
『FGO』では、「私が悲しいのではない…」と常にマイペースで眠そうな(しかし強い)アーチャーとして描かれ、シリアスとギャグの両面で愛されています。
【考察】その本質と象徴
愛という病
媚薬は「理性を超えた情熱」のメタファーです。騎士道という社会規範と、個人の感情の対立。中世ヨーロッパ文学が生んだ、恋愛至上主義の極致です。
まとめ
その矢は敵を貫き、その愛は自らの心臓を貫いた。死して初めて結ばれた、永遠の恋人たち。