まだ幼さが残る顔立ちながら、歴戦の勇者たちをなぎ倒す無敵の少年騎士。ソホラーブの願いはただ一つ、「まだ見ぬ父に会いたい」。その純粋な願いが、神話史上最も残酷な結末を迎えることを、彼はまだ知る由もありませんでした。
英雄の息子
驚異的な成長
伝説の英雄ロスタムと、トゥランの王女タフミーネの間に生まれたソホラーブ。彼は生まれながらに超人的な力を持ち、わずか10歳で国一番の戦士となりました。母から父の名を明かされた彼は、父を探し出し、共に世界を統べることを夢見て旅立ちます。
父との死闘
すれ違う運命
敵国トゥランの将軍としてイランに侵攻したソホラーブに対し、イラン側は守護神ロスタムを送り出します。互いに相手の名を知らぬまま、二人は三日三晩に渡る死闘を繰り広げました。ソホラーブは相手が父ではないかと何度も尋ねますが、ロスタムは正体を隠し続けました。
致命傷と腕輪
最後にロスタムの短剣がソホラーブの胸を貫きます。死の間際、ソホラーブが父から託された腕輪を見せたことで、ロスタムは初めて自分が殺したのが最愛の息子であったことを知り、絶叫し、慟哭しました。
文学的影響
マシュー・アーノルドの詩
19世紀の詩人マシュー・アーノルドによる『ソホラーブとロスタム』によって、この悲劇は西洋でも広く知られるようになりました。親子の情愛と、抗えない運命の残酷さは、世界中の人々の涙を誘い続けています。
【考察】運命の悪戯
戦争の悲劇
敵味方に分かれた親子が殺し合う構図は、戦争の理不尽さを象徴しています。ソホラーブの死は、国家間の対立がいかに個人の幸せを破壊するかを、強烈な皮肉として描いています。
まとめ
父を求めながら、その父の手によって永遠の眠りについた少年ソホラーブ。その短い生涯は、ペルシャの大地に深く刻まれた傷跡のように、消えることのない悲しみを伝えています。