ギリシャ全土から英雄たちを集め、トロイアへ進軍した最高司令官。ミケーネの覇王アガメムノン。その権力と富は絶大でしたが、勝利の後に待っていたのは、妻による残酷な裏切りと死でした。
アガメムノンとはどのような英雄か?
ミケーネの王であり、トロイア戦争におけるギリシャ連合軍の総大将です。メネラオスの兄。武勇と統率力に優れていましたが、極めて傲慢で、アキレウスの愛妾を奪って怒らせ、軍を危機に陥らせる原因を作りました。10年の戦争に勝利して帰国した直後、彼の留守中に浮気をしていた妻クリュタイムネストラとその愛人アイギストスによって、浴室で暗殺されました。この悲劇はアイスキュロスの『オレステイア』三部作などで描かれます。
伝説でのエピソード
イフィゲニアの犠牲
戦争への出航時、風が吹かないのは女神アルテミスの怒りだと予言され、彼は娘のイフィゲニアを生贄として捧げました。これが妻の激しい恨みを買い、後の暗殺へと繋がりました。彼は勝利のために家族を犠牲にしたのです。
黄金の仮面
シュリーマンがミケーネ遺跡を発掘した際、黄金のデスマスクを発見し「アガメムノンの仮面」と名付けました(実際は別人のものと判明していますが)。彼の富と権力の象徴として有名です。
後世への影響と言及
悲劇の連鎖
彼の家系(アトレウス家)は、親族殺しの呪いに満ちています。彼の死もまた、息子オレステスによる母殺しという新たな悲劇を生みました。
嫌な上司?
現代の視点で見ると、部下(アキレウス)の成果を横取りし、責任転嫁する「嫌な上司」の典型のように描かれることもあります。しかし、個性派揃いの英雄たちをまとめ上げた政治力は本物です。
【考察】その本質と象徴
頂点の孤独
全ての責任を背負い、神の神託に従って娘さえ殺さねばならなかった王の苦悩。彼の傲慢さは、重圧に対する鎧だったのかもしれません。
まとめ
栄光の頂点で浴槽の血に沈んだ王。勝利は、必ずしも幸福を約束しません。