どんな条件でも殺せない無敵の魔王が現れたら、どう倒すか? インド神話の回答は、「条件に含まれないバグキャラに変身する」でした。維持神ヴィシュヌが変身した第4の姿ナラシンハ(人獅子)。そのグロテスクとも言える姿には、論理パズルのような神の知恵と、悪を絶対に許さない恐怖の正義が込められています。
不死身のトリック崩し
完璧な論破と殺害
魔王ヒラニヤカシプは、苦行によりブラフマー神から「人間にも獣にも神にも、昼にも夜にも、武器でも素手でも、地上でも空中でも、家の中でも外でも殺されない」という加護を得ました。これに対しナラシンハは以下の条件で彼を殺しました。
- 人間でも獣でもない「人獅子」の姿で
- 昼でも夜でもない「夕暮れ時」に
- 武器でも素手でもない「爪(鋭いが体の一部)」で
- 地上でも空中でもない「自身の膝の上」で
- 中でも外でもない「玄関の敷居の上」で 彼の腹を引き裂いたのです。
止まらない怒り
シヴァとの対決
魔王を倒した後もナラシンハの怒りは収まらず、世界を破壊しそうになりました。これを止めるためシヴァ神が「シャラブハ(怪鳥)」に変身して戦い、ようやく鎮めたという後日談もあります。正義の怒りは時として悪以上に危険になることを示唆しています。
まとめ
ナラシンハは、「抜け穴がない契約などない」という教訓と、神の力は人間の想像(論理)を常に凌駕するという畏怖を象徴する、インド神話屈指の強キャラクターです。