「激怒」あるいは「勇気」を意味する名を持つ神モージ。兄マグニと共にトールのハンマーを受け継ぐ彼は、戦場における恐怖を怒りで打ち消す戦士の守護神です。バイキングたちの狂戦士(ベルセルク)の魂は、彼と共にあります。
モージとはどのような神か?
モージはトールの息子ですが、母親は不明(シフあるいはヤールンサクサ)です。兄のマグニが物理的な「力」を象徴するのに対し、モージは戦いにおける「精神力(怒り・闘争心・勇気)」を象徴します。戦場で恐怖を忘れ、痛みを感じなくなるトランス状態、いわゆる「ベルセルク(狂戦士)」の熱狂は、モージの領分とも言えます。
神話での伝説とエピソード
ハンマーの共有
ラグナロクを経て生き残った彼は、兄マグニと共に父のハンマー「ミョルニル」を所有します。これは非常に示唆的です。ミョルニルという最強の力を行使するには、マグニの「肉体的な力」だけでは不十分で、モージの「精神的な決断力(怒り)」も必要だということを表しているのかもしれません。二人はセットで初めてトールを超えるのです。
新世界の守護者
破壊された世界で、彼らは暴力的な力の象徴ではなく、新しい秩序を守るための「武力」としてハンマーを振るうことになります。
現代作品での登場・影響
ゴッド・オブ・ウォー
大ヒットゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』では、マグニと共に中ボスとして登場しました。残忍で卑怯、そして父トールに怯えるコンプレックスの塊として描かれ、主人公クレイトスにより殺害されました。神話本来の「希望の星」とは真逆の解釈ですが、キャラクターとしての強烈な印象を残しました。
【考察】その強さと本質
感情のエネルギー
恐怖に立ち向かうために必要な「怒り」。生物が生存するために不可欠なアドレナリン。モージは、生存本能としての攻撃衝動を肯定する神です。ただ暴れるだけでなく、その怒りをコントロールできた時、真の勇気となります。
まとめ
怒りは力になる。しかしそれを制御できる者だけが、神のハンマーを持つ資格があるのです。モージの赤き闘志は、怯える背中を叩き、前へと進ませてくれます。