バリオニクス(Baryonyx)は、ジュラ紀から白亜紀にかけて繁栄したスピノサウルス科の獣脚類です。その名は「重い爪」を意味し、前足の親指にある巨大な鉤爪に由来します。1983年にイギリスのアマチュア化石収集家によって発見され、恐竜の中でも珍しい魚食性の生態を持っていたことが明らかになりました。
30センチの巨大爪
前肢の第1指(親指)の爪は湾曲しており、長さは30センチメートル以上もありました。この爪は、今日のヒグマが鮭を捕るように、川岸から水中の魚を引っ掛けて捕らえるための強力な道具だったと考えられています。陸上の獲物を切り裂く武器としても有効だったでしょう。
ワニのような頭部
頭骨は細長く、まるでワニのような形状をしていました。顎には円錐形の細かい歯が多数並んでおり、この歯は肉を切り裂くよりも、ヌルヌルして滑りやすい魚を突き刺して逃さないことに適していました。鼻孔が頭の後方に位置しているのも、水中での活動に適応した結果です。
最後の晩餐
化石の胃の付近からは、消化されかけた魚(レピドテス)の鱗や、若いイグアノドンの骨が見つかっています。これは彼らが魚を主食にしつつも、機会があれば恐竜や死肉も食べる、柔軟なスカベンジャー兼ハンターであったことを示しています。
まとめ
バリオニクスは、恐竜が陸上だけでなく水辺の資源を利用するように進化した、ニッチ開拓の成功例です。そのユニークな生態は、恐竜の多様性を語る上で欠かせません。