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獬豸(カイチ):嘘を見抜く正義の神獣【元ネタ・中国神話解説】

#中国神話 #神獣 #正義 #一角獣 #裁判 #法律 #韓国
獬豸(カイチ) / Xiezhi
獬豸(カイチ)

獬豸(カイチ)

Xiezhi
中国神話神獣 / 霊獣
危険度
大きさ牛や羊サイズ
特殊能力真偽を見抜く、悪人を刺す
弱点特になし
主な登場
逆転裁判 (モチーフ)ソウル市のシンボル

もし現代の法廷にこの獣がいたら、冤罪も偽証も決して存在し得ないでしょう。獬豸(カイチ)は、中国神話に登場する、嘘つきを絶対許さない「公正」と「正義」の化身です。その角は、私情や賄賂に左右されることなく、ただ冷徹に真実のみを指し示します。

法の番人

一角の裁判官

獬豸の姿については諸説あり、牛や羊、鹿、あるいは青黒い体毛を持つライオン(獅子)に似ていると言われますが、最大の特徴は額の中央に凛と生えた一本の鋭い角です。彼は人間の言葉を理解し、非常に高い知能と道徳心を持っています。人々が争っている場面や裁判の場に出くわすと、彼はじっと双方を見つめ、理屈の通っていない方、あるいは不正を働いて嘘をついている悪人を即座に見抜きます。そして、その長い角で罪人を突き刺して食べたり(あるいは鼻で突き飛ばしたり)、水に投げ込んだりします。彼が味方した方が正義なのです。

司法のシンボル

この「曲がったものを正す」という伝説から、獬豸は法と正義の象徴とされました。古代中国(楚の時代など)の裁判官や御史(監察官)は、獬豸を象った「獬豸冠(かいちかん)」と呼ばれる帽子を被り、自らが獬豸のように公正な裁きを行うことを誓いました。また、清の時代の役人の服(補子)にも、司法官を示すシンボルとしてその姿が刺繍されています。

東アジアへの広がり

韓国と日本

獬豸の伝説は中国から周辺国へも広がりました。韓国のソウル市では、「ヘチ」という呼び名で親しまれ、火災や災害を防ぐ守り神として、景福宮の入り口などに像が置かれています。現在はソウル市の公式シンボルキャラクターにもなっています。また、日本の神社を守る一対の「狛犬」のうち、口を閉じて角がある方(吽形)は、本来この獬豸であるという説が有力です。獅子と獬豸のペアが、神域を邪悪なものから守っているのです。

まとめ

獬豸は、人間の良心と社会の正義を監視する、厳しくも高潔な究極のガーディアンです。彼の前では、どんなに巧みな嘘も、権力による圧力も通用しません。真実だけが生き残るのです。