ベルリンのペルガモン博物館に移築された、青く輝く「イシュタル門」。その壁面に、ライオンやオーロックスと並んで、明らかにこの世のものではない生物が描かれています。「シルシュ(Sirrush)」、またの名をムシュフシュ。古代バビロニアの人々がリアルに描写したこの聖獣は、神マルドゥクの忠実な下僕です。
究極のキメラ
怒れる蛇
正しい名前である「ムシュフシュ」は、シュメール語で「怒れる蛇」を意味します。その姿はまさに最強生物のパッチワークです。
- 頭と首: 蛇
- 前足: ライオン
- 後ろ足: 鷲(わし)
- 尾: サソリ これほどの異形でありながら、レリーフの中では静かに歩を進める、気高い姿で描かれています。
神話での役割
ティアマトの子から神の友へ
元々は女神ティアマトが生み出した怪物の一体でした。しかし、主神マルドゥクに敗れた後、その力と忠誠心を認められ、マルドゥク神の乗り物(聖獣)としてバビロンの守護者となりました。
ダニエル書での退治
旧約聖書外典『ベルと竜』では、バビロンの人々が崇拝していた「生きた竜(シルシュ)」を、預言者ダニエルが「ピッチと脂肪と毛髪」を混ぜた団子を食べさせて**爆発(破裂)**させて殺すという、中々にショッキングなエピソードが残っています。
FGOでの知名度
量産型エネミー
『Fate/Grand Order』では、第7章バビロニアなどで雑魚エネミーとして大量に登場。しかしそのデザインは洗練されており、集団で襲ってくる脅威としてプレイヤーに強い印象を残しました。
【考察】古代の恐竜?
イグアノドン説
未確認生物学者の間では、シルシュの真っ直ぐ伸びた首や体型が、**絶滅した恐竜(竜脚類)**に似ていると指摘されることがあります。古代人が化石を見たのか、あるいは本当に生き残りを目撃したのか、ロマンは尽きません。
まとめ
シルシュは、古代メソポタミア文明の威厳と神秘を今に伝える、美しくも恐ろしい守護獣です。