酒呑童子は、玉藻前、大嶽丸と並ぶ「日本三大悪妖怪」の筆頭です。単なる暴れん坊ではなく、茨木童子をはじめとする多くの手下(鬼)を従え、立派な御殿に住んでいた「鬼の王」でした。京の都から若者や姫君をさらい、贅の限りを尽くしていた酒呑童子は、貴族たちにとって恐怖の象徴でした。しかし、その強大さゆえに、討伐の物語は日本で最も有名な鬼退治の伝説として語り継がれています。彼の強さは単なる腕力だけでなく、人心を掌握するカリスマ性にもありました。
大江山の鬼退治
源頼光と四天王
京の都で若者をさらう酒呑童子を討伐するため、源頼光と四天王(坂田金時、渡辺綱、碓井貞光、卜部季武)が派遣されました。まともに戦っては勝てないため、彼らは山伏に変装し、神から授かった毒入りの酒「神便鬼毒酒」を飲ませて寝込みを襲いました。この酒は、人間には薬となり、鬼には手足が動かなくなる猛毒となる不思議な酒でした。
首だけの反撃
首を斬り落とされた酒呑童子は、それでも死なず、頼光の兜にかみついたと言われています。「鬼に横道はない(鬼は卑怯な真似はしない)」と叫びながら絶命した最期は、騙し討ちをした人間側への痛烈な皮肉としても語られます。死してなお恐ろしい執念を見せました。この首は宇治の平等院の宝蔵に納められたとも伝えられています。
悲しきイケメン?
多くの女性を振った報い
一説によると、彼は元々絶世の美少年・外道丸でしたが、多くの女性からの恋文を読みもせず焼き捨てた際、その怨念の煙に巻かれて鬼になってしまったとも伝えられています。また、比叡山を追われた稚児だったという説もあり、あまりにモテすぎたが故の悲劇、あるいは社会から疎外された者の恨みが、彼を最強の鬼へと変えたのかもしれません。
まとめ
最強の鬼でありながら、酒に溺れ、最後は人間に騙されて討たれた酒呑童子。その姿には、どこか人間臭い悲哀が漂っています。力だけでは生き残れない、世の無常を感じさせる存在です。