ヴァルハラの屋根の上には、山羊のヘイドルンだけでなく、雄大な牡鹿も住んでいます。その名をエイクスュルニル(柏の木の棘を持つもの)。彼は単に葉を食べているだけではありません。北欧神話の世界地図を書き換えるほど重要な、ある「循環」を担っているのです。
角から出る水源
世界を潤す滴
エイクスュルニルは世界樹ユグドラシルの枝(レーラズの木とも)から葉を食べて暮らしています。彼が食べた葉の水分は、その巨大な角から滴り落ち、下のフヴェルゲルミルの泉へと注ぎ込みます。そこから溢れた水が、地上を流れるすべての河川の源流となっているのです。
神話の生態系
天と地をつなぐ
世界樹の葉(天の恵み)を動物が摂取し、それを水として大地に還元する。エイクスュルニルの役目は、自然界の水循環のシステムを神話的に表現したものと言えるでしょう。彼は静かに佇みながら、世界中の生命を支えているのです。
まとめ
エイクスュルニルは、派手な戦闘のエピソードはありませんが、北欧神話の世界観を構成する上で欠かせない、静謐な守護者の一人です。