ヴェル(Vel) は、南インドで絶大な人気を誇る軍神ムルガン(スカンダ、カルティケヤ)のシンボルである聖槍です。その穂先は広くて平らな葉のような形をしており、鋭い切っパ先は「鋭敏な知性」、幅広の部分は「広範な知識」、そして深さは「深い思考」を表しています。つまり、ヴェルは単なる武器ではなく、人間の知恵そのものの具現化なのです。
母からの贈り物
アスラ殲滅
ムルガンが悪魔(アスラ)の王スラパドマンを倒す際、母である女神パールヴァティー(シャクティ)からこの槍を授かりました。ヴェルの一撃はスラパドマンの変身を見破り、彼を真っ二つに引き裂きました。裂かれた体は孔雀と鶏になり、それぞれムルガンの乗り物と旗印になりました。
ヴェルの祭り
タミルの人々にとって、ヴェルは神そのものです。「タイプーサム」という祭りでは、信者たちがヴェルを模した針を体に刺して行進し、神への献身と勇気を示します。「Vetrivél! Veeravél!(勝利のヴェル!勇気のヴェル!)」という掛け声は、困難に打ち勝つ魔法の言葉です。
まとめ
ヴェルは、力と知恵が不可分であることを教えてくれます。真の勝利は、暴力ではなく、鋭く研ぎ澄まされた知性によってもたらされるのです。