銀髪に褐色の肌、そして冷酷な性格。現代ファンタジーにおいて「ダークエルフ」は魅力的な悪役、あるいはアンチヒーローとして確立しています。しかし、その「元ネタ」を辿ると、意外にもドワーフとの境界線が曖昧な存在でした。
北欧神話のダークエルフ(デックアールヴ)
光と闇のエルフ
北欧神話のエッダには、光の妖精「リョースアールヴ」と、地下に住む闇の妖精「デックアールヴ(Svartálfar)」が登場します。デックアールヴは「ピッチ(松脂)よりも黒い」と記述されています。
ドワーフとの同一視
神話の中でデックアールヴが住む場所は「スヴァルトアールヴヘイム」と呼ばれますが、彼らの描写は鍛冶が得意な小人族「ドヴェルグ(ドワーフ)」と非常に似通っており、多くの学者は「神話上は同じ存在を指していた」と考えています。つまり、元々のダークエルフは、地下で宝を作る鍛冶屋のおじさんだった可能性が高いのです。
現代ファンタジーでの変貌
D&Dと「ドロウ」
現在のスタイリッシュなダークエルフ像を決定づけたのは、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場する種族「ドロウ(Drow)」です。黒い肌に白い髪、蜘蛛の女神を崇拝する残酷な母系社会という設定は、後の多くの作品に影響を与えました。
日本の作品におけるダークエルフ
『ロードス島戦記』などを通じて日本にも輸入され、「森のエルフと対立する闇の種族」「褐色肌の美女」といった記号として定着しました。オークと手を組むことも多く、エロティックな文脈で語られることも少なくありません。
代表的なキャラクター
ドリッズト・ドゥアーデン
R.A.サルバトーレの小説に登場する、邪悪な同族を捨てて地上で英雄となった二刀流のドロウ。彼の影響で「善なるダークエルフ」というキャラクター類型も生まれました。
まとめ
神話の鍛冶屋から、妖艶な闇の住人へ。ダークエルフは、人間の想像力によって最も劇的な進化を遂げた種族の一つと言えるでしょう。