日本の獅子舞によく似た、金色の煌びやかな装飾具を身につけ、大きな目をパチクリとさせる愛嬌のある聖獣。それがバリ島の守り神、バロンです。彼は森の精霊であり、全てを受け入れる「善」の象徴として、魔女ランダの脅威から人々を守り続けています。
森の王バンナスパティ・ラジャ
多彩な姿を持つ神
バロンは特定の動物だけを指すのではありません。最も有名なのは「バロン・ケット」と呼ばれる獅子の姿ですが、地域によってはバロン・マチャン(虎)、バロン・バンクル(猪)、バロン・ガジャ(象)など、様々な動物の姿で信仰されています。これらは総じて「森の王」バンナスパティ・ラジャの化身とされ、自然界のプラスのエネルギーを具現化しています。
愛される守護神
バロンの性格は陽気で茶目っ気があり、人懐っこいとされます。祭礼の日には、2人がかりで操作する着ぐるみとして村中を練り歩き、家々の前で歯を鳴らして悪霊を追い払い、無病息災をもたらします。
ランダとの対立図式
白魔術の使い手
魔女ランダが黒魔術で疫病や死を撒き散らすのに対し、バロンは白魔術と治癒の力で対抗します。有名な舞踊劇では、ランダの呪いによって理性を失い、自らの胸に剣を突き立てて死のうとする村人たちに対し、バロンが強力な保護魔法をかけて刃を通さなくさせ、正気に戻す場面がクライマックスとなります。
終わりのない均衡
バロンはランダを倒しません。光があるから影があるように、善と悪もまた表裏一体だからです。バロンの役割は、悪を消滅させることではなく、悪が強くなりすぎないように抑え込み、世界の調和(ルワ・ビネダ)を維持することにあります。
日本との類似性
獅子舞との共通点
バロンの起源は中国の獅子舞にあるとも言われていますが、日本に伝わった獅子舞と同じルーツを持つと考えられています。遠く離れた島国同士で、同じような精霊が悪霊払いとして愛されているのは興味深い共通点です。
まとめ
バロンは、混沌とした世界において、私たちが失ってはならない「陽気さ」や「守る力」を思い出させてくれる、頼もしくも愛らしい神様なです。