山羊の頭に背中の翼、そして天と地を指差す不気味なポーズ。悪魔崇拝(サタニズム)の象徴としてあまりに有名なバフォメットですが、その正体は意外にも「捏造された神」かもしれません。
バフォメットとは何者か?
悪魔か、それとも知識の象徴か
バフォメットは一般的に、黒山羊の頭部と人間の女性の体、そして背中に翼を持つ姿で描かれます。額には五芒星が輝き、両腕には「SOLVE(溶解)」と「COAGULA(凝固)」という錬金術の言葉が刻まれています。これは万物の均衡と対立の統合を意味しており、単なる邪悪な存在というよりは、禁断の知識の守護者としての側面が強いのです。
名前の由来
一説にはイスラム教の開祖「マホメット(ムハンマド)」の名前が転訛したものであるとも言われています。十字軍の騎士たちが異教徒の信仰を歪んで伝えた結果、この悪魔の名前が生まれたという説が有力です。
テンプル騎士団を滅ぼした偶像
騎士団裁判の記録
14世紀初頭、強大な権力を誇ったテンプル騎士団が異端審問によって壊滅させられた際、彼らが崇拝していたとされる偶像がバフォメットでした。拷問を受けた騎士たちは「髭を生やした人の頭」や「黒猫」などを礼拝していたと自白しましたが、これらは国王フィリップ4世による財産没収のための冤罪であった可能性が高いとされています。
エリファス・レヴィによる視覚化
現在知られる「山羊頭の悪魔」の姿は、19世紀の魔術師エリファス・レヴィが描いた『メンデスのバフォメット』という絵画によって定着しました。彼はこの姿に、人間と動物、男と女、善と悪といった二元論の統合という哲学的な意味を込めたのです。
現代エンタメでのバフォメット
ゲームでの扱い
『ラグナロクオンライン』では巨大な鎌を持つMVPボスとしてプレイヤーを苦しめ、『女神転生』シリーズでは高位の悪魔として登場します。多くの場合、魔法攻撃を得意とし、知的な強敵として描かれます。
サタニズムのアイコン
現代の「サタン教会」においてもバフォメットの印章はシンボルとして使用されており、反逆と自由意志の象徴として扱われています。
【考察】悪魔としての格付けは?
実在しない悪魔?
ソロモン72柱のような「グリモワール(魔道書)」に記された伝統的な悪魔とは異なり、バフォメットは歴史的な陰謀とオカルト哲学によって作り上げられた存在です。しかし、その**「概念としての強さ」**は本物であり、世界中の人々に「悪魔といえばこれ」と思わせるほどの影響力を持っています。霊的な危険度という点では、ルシファーやベルゼブブにも匹敵する知名度誇る「オカルトの王」と言えるでしょう。
まとめ
テンプル騎士団の悲劇から生まれ、魔術の哲学を背負ったバフォメット。その禍々しい姿の裏には、人間が恐れ、同時に求め続けた「知恵」への渇望が隠されているのです。