太陽神アマテラス、嵐の神スサノオと並び、イザナギから生まれた尊い「三貴子(さんきし)」の一柱でありながら、古事記や日本書紀における登場シーンはごくわずか。そのミステリアスな存在感と、夜を統べる静かな力は、多くの現代フィクションで重要な役割を与えられています。月読命(ツクヨミ)、あるいは月夜見尊(ツクヨミノミコト)。太陽の陰に隠れ、歴史からも姿を消した月の神の正体と、わずかに残された衝撃的なエピソードを紹介します。
ツクヨミとはどんな神か?
夜の食国(おすくに)の支配者
イザナギが禊(みそぎ)をした際、右目を洗った時に生まれ、(あるいは銅鏡から生まれ)、夜の世界「夜の食国」の支配を命じられました。名前の由来は「月を読む=月の満ち欠けで暦(こよみ)を数える」ことから来ているとされ、農耕や潮の満ち引き、占いの神としての性格も持ちます。
性別不明の美しさ
多くの神が性別を明確にされているのに対し、ツクヨミは男神とも女神とも解釈が分かれる存在です。一般的には男神とされることが多いですが(アマテラスの弟)、その神秘性から、創作物では美しい女性や中性的な麗人として描かれることが多々あります。
昼と夜が分かれた理由
保食神(ウケモチ)殺害事件
アマテラスの使いとして穀物の神・保食神を訪ねた際、彼女が口から食べ物を吐き出して振る舞う様子を見て、「汚らわしい!口から出したものを喰わせるのか」と激怒し、その場で剣を抜き、斬り殺してしまいました。
アマテラスとの絶縁
これを知ったアマテラスは「なんて乱暴な神でしょう。もう顔も見たくありません」と怒り、ツクヨミとは住む場所を分けることにしました。こうして太陽(昼)と月(夜)は別々の時間に現れ、決して交わることがなくなったのです。彼の潔癖さが、世界の昼夜を分けたといえます。
現代作品でのツクヨミ
NARUTO -ナルト-
うちはイタチが使う万華鏡写輪眼の最強の幻術「月読(ツクヨミ)」として登場。精神世界で時間と空間、質量を完全に支配し、相手を廃人にする恐ろしい術として描かれました。
FFXIV
討滅戦のボスとして登場。美しい着物姿で扇を用い、「夜の闇に沈みなさい」というセリフと共に、月齢のギミックでプレイヤーを翻弄する人気キャラクターです。
まとめ
ツクヨミは、光り輝く太陽の陰で、静かに世界のリズム(暦)を刻み続ける、必要不可欠な夜の支配者なのです。その謎めいた沈黙こそが、彼の最大の魅力かもしれません。