引っ越しや旅行の日取りを決める際、「金神」の方角を避けるという風習をご存知でしょうか?かつて人々を震え上がらせた最強の凶神、金神。しかしその恐ろしい仮面の下には、強大な守護の力が秘められています。
触れば死ぬ?金神の恐怖
殺伐を司る神
金神は五行説における「金」の精気であり、殺伐・戦争・刑罰を司る神です。この神がいる方位(とくに鬼門である北東)に向かって建築や移転を行うと、家族を含めて7人が殺される(七殺)と言われるほど恐れられました。
牛虎の金神
特に重要視されたのが「牛虎(北東)の金神」です。これは艮の金神とも呼ばれ、後にスサノオや国常立尊といった貴い神々と同一視されるようになりました。「恐ろしい神ほど、祀れば強い味方になる」という信仰の典型例です。
凶神から福神へ
迷信からの脱却
「金神の祟り」を恐れるあまり、何もできなくなる人々に対し、「金神は本来、天地を守る正義の神である」と説いたのが、幕末の宗教家たち(金光教や大本教)でした。彼らは金神を厳格だが慈愛に満ちた親神として再定義し、多くの信者を集めました。
【考察】警告システムとしての神
変化への畏れ
金神が建築や移転を嫌うというのは、環境の変化がもたらすリスクを、古代人が神の祟りとして言語化したものかもしれません。慎重に行動せよ、という先人の戒めが、最強の荒神の姿をとったと言えるでしょう。
まとめ
金神は、方位という見えないルールで人間を縛る存在でしたが、今では人生の転機を厳しくも見守る守護神としての地位を確立しています。