「荒神様が怒るぞ」と祖母に叱られた経験はないだろうか。日本の家庭において、台所(竈)は最も神聖で、かつ危険な場所である。そこを守るのは、優しさではなく「激しさ」で災いを払う神、荒神(コウジン)である。
三宝荒神の姿
仏教との習合
神道における竈の神(奥津彦・奥津姫やカグツチ)が、仏教や修験道と結びつき、三宝荒神(さんぽうこうじん)として祀られるようになった。 その姿は、三つの顔と六本の腕を持ち、髪を逆立てて怒る忿怒(ふんぬ)の形相で表されることが多い。これは仏教の守護神(明王)の影響である。
なぜ「荒」ぶるのか
不浄を許さない
火は清浄なものであり、生活に不可欠だが、扱いを誤れば家を焼き尽くす災厄となる。 荒神が激しい性格をしているのは、火災という最大の恐怖を防ぐため、人間に対して「火を慎重に扱え」「台所を清潔に保て」と厳しく警告し続けているからである。
【考察】家の守り神
最強の厄除け
その激しさゆえに、荒神は家の中のあらゆる悪霊や厄災を焼き払う最強の魔除けとしても信仰される。 怒っているから怖いのではなく、家族を守るために怒ってくれている頼もしい父親のような存在と言えるかもしれない。
まとめ
荒神は、現代のシステムキッチンになっても変わらず、私たちの食と安全を、炎のような情熱で守り続けている。