「鬼子母神」の「鬼」という字、よく見ると上の角(ツノ)がないものを使っているお寺が多いのをご存じでしょうか? これは、彼女が改心して**「角のとれた優しい母」になったことを表しています。かつては他人の子供を奪って食べる恐ろしい夜叉**でしたが、お釈迦様の導きにより、今では最強の子育て・安産の守護神として信仰されています。
千人の子の母と悲劇
消えた末っ子
インド神話では**訶梨帝母(かりていも)**と呼ばれ、千人(一説には一万人)もの子供を持つ母親でした。しかし、彼女はその養育費のために人間の子供をさらっては食べていました。見かねたお釈迦様は、彼女が最も溺愛していた末っ子を隠してしまいます。
母の愛を知る
半狂乱になって子供を探す彼女に対し、お釈迦様は「千人のうちの一人を失っただけでそれほど辛いのだ。一人の子を失った人間の親の悲しみはいかばかりか」と諭しました。自身の過ちを深く悟った彼女は仏教に帰依し、すべての子供を守ることを誓いました。
ザクロ(石榴)の伝説
人肉の味?
鬼子母神像は右手に**吉祥果(ザクロ)**を持っています。俗説では「ザクロの味が人肉に似ているため、人肉の代わりに食べている」と言われますが、これは日本で広まった誤解です。実際には、ザクロは種が多いことから「多産・豊穣」のシンボルとされています。
まとめ
鬼子母神の物語は、親の愛の深さと、罪を償い善に生きる心の強さを伝えています。子を想うすべての親にとって、彼女は最も頼もしい味方です。