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吉備津彦命:桃太郎のモデルとなった退魔の英雄【伝説・ご利益】

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吉備津彦命 / Kibitsuhiko-no-mikoto
吉備津彦命

吉備津彦命

Kibitsuhiko-no-mikoto
日本神話人間 / 皇族
神格★★★
大きさ人間大 (武人の姿)
権能弓術、指揮能力
弱点特になし
主な登場
桃太郎(原典)日本書紀古事記女神転生

誰もが知る昔話**「桃太郎」**。そのモデルとなったとされる人物こそが、**吉備津彦命(きびつひこのみこと)です。第7代孝霊天皇の皇子として生まれ、四道将軍の一人として吉備国(現在の岡山県周辺)へ派遣されました。そこで彼を待ち受けていたのは、人々を苦しめる「温羅(うら)」**と呼ばれる鬼との激闘でした。この史実とも伝説ともつかない物語は、今なお吉備の地に色濃く残っています。

四道将軍としての派遣

大和朝廷の切り札

崇神天皇の時代、朝廷は支配領域を広げるため、各地に**「四道将軍」**を派遣しました。西道(山陽道)へ派遣されたのが吉備津彦命です(『古事記』では大吉備津日子命)。彼は武勇に優れ、反乱勢力を鎮圧するために軍を進めました。

吉備入国

吉備の国では、異国から渡来したとされる大男、**温羅(うら)**が「鬼ノ城(きのじょう)」に拠点を構え、悪逆非道の限りを尽くしていました。吉備津彦命はこの温羅を討伐するため、陣を敷きます。これが後の「桃太郎の鬼退治」の原型となります。

温羅との死闘

弓矢の攻防

吉備津彦命と温羅の戦いは熾烈を極めました。吉備津彦命が矢を射ると、温羅も石を投げて矢を撃ち落とします。互角の戦いに、命(みこと)は策を案じ、一度に二本の矢を射ることにしました。一本は撃ち落とされましたが、もう一本が見事に温羅の左目を射抜きます。

鯉に化けた鬼

傷ついた温羅は雉(キジ)に化けて逃げますが、命は鷹となって追います。さらに温羅は鯉となって川へ逃げ込みますが、命は鵜(ウ)となってついに温羅を捕らえ、討ち取りました。この時、命に従った犬飼健(イヌ)楽々森彦(サル)、**留玉臣(キジ)**という三人の家来が、それぞれお供の動物のモデルになったと言われています。

祟りと鎮魂

鳴釜神事

首をはねられた温羅ですが、その首は夜な夜な唸り声を上げ続けました。困り果てた吉備津彦命の夢枕に温羅が現れ、「私の妻に釜を炊かせれば、竃の音で吉凶を占おう」と告げます。これが吉備津神社に伝わる**「鳴釜神事(なるかましんじ)」**の起源です。かつての敵を丁重に祀ることで、荒ぶる魂は守護の力へと転じました。

【考察】製鉄技術との関連

「鬼」の正体は渡来人?

温羅は「製鉄技術を持った渡来人集団の首長」だったという説が有力です。「赤鬼」というのは、製鉄の炎や錆びた鉄の色を象徴しているとも言われます。大和朝廷による地方平定の歴史が、鬼退治伝説として再構成された興味深い事例です。

まとめ

吉備津彦命は、単なる武人ではなく、敵をも受け入れて祀る度量の広さを持った名将でした。桃太郎の物語の奥には、古代吉備の熱い歴史が眠っています。