もし彼がいなければ、日本は現在のような緑豊かな国ではなかったかもしれません。**五十猛神(イソタケル)**は、父であるスサノオと共に天上界(高天原)から地上に降り立った際、たくさんの「木の種」を持ってきました。一度は朝鮮半島(新羅)に渡りましたが、そこには植えずに日本に戻り、九州から始めて本州全体に種を蒔き、緑の山々を作り上げました。この功績から「有功神(いさおしのかみ)」という大変名誉ある別名を持っています。
日本を「木の国」にした神
天空の種
『日本書紀』の一書によれば、イソタケルは高天原から持ち帰った樹木の種子を、妹神である大屋津姫命(オオヤツヒメ)、抓津姫命(ツマツヒメ)と共に全国に植えて回りました。これにより日本の山々は青々とし、豊かな森林資源に恵まれることになりました。
紀伊国(木の国)の由来
彼が最終的に鎮座したのが、現在の和歌山県である「紀伊国(きいのくに)」です。ここはかつて「木の国」と呼ばれていました。イソタケルを祀る**伊太祁曽神社(いたきそじんじゃ)**は、林業関係者や建築業者から熱烈な崇敬を集めています。木造建築や船を作るための木材は、古代日本のライフラインそのものであり、彼はその根源を守る非常に重要な神様なのです。
ご利益と信仰
林業・土木建築の守護はもちろん、「木を植えて育てる」という性質から、殖産興業、厄除け、病気平癒の神としても信仰されています。また、荒ぶる父スサノオとは対照的に、破壊された自然を再生させ、人々に恩恵をもたらす穏やかで建設的な神として描かれています。
まとめ
今の日本の美しい里山風景があるのは、太古の昔にイソタケルが種を蒔いたおかげかもしれません。木造文化の日本にとって、最も感謝すべき守護神の一人です。