**速玉男神(ハヤタマノオ)**は、和歌山県新宮市にある世界遺産・熊野速玉大社の主祭神です。彼の誕生は、日本神話の中でも特に「泥沼」なシーンに由来します。黄泉の国で変わり果てた妻イザナミを見て逃げ帰った夫イザナギが、「もうお前とは縁を切る!」と言い放ち、その約束を固めるために吐いた「唾(つば)」から生まれた神だとされています(※諸説あり)。そのため、過去の呪縛や悪縁を断ち切り、新しい未来へ進むための「固い誓い(速玉)」を司る神とされています。
唾から生まれた神?
絶縁の儀式
『日本書紀』の一書によれば、イザナギが「掃き払い(関係を清算し)」、「約束を固める(離縁を確定させる)」時に、ペッと吐いた唾から速玉男神が、次に掃き払った時に事解男神(コトサカノオ)が生まれました。唾は古代において、自分の魂の一部であり、契約を確定させる呪術的な意味を持っていました。 このことから、彼は「古い関係を完全に終わらせ、新しい一歩を踏み出すエネルギー」の象徴とされます。単なる別れの神ではなく、心の迷いを断ち切る強い意志の神なのです。
熊野権現として
仏教と融合した修験道(神仏習合)においては、「熊野権現」の一角として、薬師如来の化身とされました。過去世の救済を担うとされ、人々を苦しみから解き放つ力を持つと信仰されました。「なぎなた(薙刀)」の達人としても描かれることがあり、その鋭い刃で災いを断ち切ります。
まとめ
何かを辞めたい、断ち切りたい。けれど踏ん切りがつかない。そんな時、速玉男神はあなたの背中を押し、過去の扉を閉じてくれるでしょう。