**天穂日命(アメノホヒ)**は、天照大御神の次男(誓約で生まれた五男神の二男)にあたる高貴な神です。
彼の最大の特徴は、「出雲国造(いずものくにのみやつこ)」の祖先であるという点です。つまり、現在も出雲大社の宮司を務める「千家家」「北島家」の直系先祖にあたります。アマテラスの子でありながら、なぜ出雲の大国主神に仕えるようになったのか?そこには国譲り神話における彼の知られざる決断がありました。
最初の国譲り交渉人
3年間の沈黙
天照大御神は、葦原中国を平定するために、まず長男のアメノオシホミミを遣わそうとしましたが、彼は下界の騒がしさに恐れをなして降りませんでした。 次に白羽の矢が立ったのが、次男のアメノホヒでした。
勇んで出雲へ降りたアメノホヒでしたが、彼は大国主神の人柄と偉業に感服し、心酔してしまいます。結果として、3年間もの間、高天原に何の報告も送らず、実質的に大国主の家臣のようになってしまいました。
祭祀者としての覚醒
裏切りか、和解か?
これを高天原側は「寝返り」と捉えましたが、アメノホヒの真意は武力制圧ではなく「祭祀による統合」にあったとも解釈できます。 後の国譲りが成立した際、アメノホヒは大国主神を祀る祭主となることを命じられました。 これは、「統治権は天皇(天孫)へ、祭祀権は出雲(国造)へ」という古代日本の二重構造(政教分離)の起源となり、彼は武力を行使せずに最も平和的な解決の道を開いたとも言えるのです。
名の由来
稲穂の神
「ホヒ」は「穂日」であり、太陽の恵みを受けて実る稲穂を象徴しています。農業神としての性格も持ち、農耕の不作を除く神としても信仰されています。
まとめ
天穂日命は、天と地(アマテラスと大国主)の橋渡し役となった神です。その子孫が現在に至るまで出雲大社の祭祀を守り続けていることは、彼の選択が歴史的に正しかったことを証明しています。