ギリシャ神話に登場する一つ目の巨人「サイクロプス」は、ゼウスの雷霆を作った鍛冶屋ですが、日本にも全く同じ特徴を持つ神様がいます。一つ目の鍛冶神、天目一箇神(アメノマヒトツ)です。
なぜ目が一つなのか
職業病説
古代の鍛冶職人は、炉の炎の色を見て鉄の温度を見極めるため、片目をつぶる仕草を繰り返しました。また、強い光を見続けることで実際に片目の視力を失うことも多かったと言います。この職人たちの姿が神格化され、「一つ目の神」が生まれたと考えられています。
神話での役割
祭具の製造
天岩戸神話では、刀や斧、そして鉄の鐸(ぬりて)を作りました。彼の作った祭具が、アマテラスを呼び戻す儀式に不可欠だったのです。イシコリドメ(鏡作りの神)と共に、ものづくりの神の筆頭として祀られています。
妖怪への零落
一本だたら
山奥で鍛冶を行うこの神の姿は、後に「一本だたら」や「山爺」といった一つ目妖怪の伝承へと変化していきました。神と妖怪の境界線上にいる、非常に興味深い存在です。
まとめ
天目一箇神は、日本の鉄文化を支えてきた無名の職人たちの魂の集合体かもしれません。その「一つ目」は、真実を見極める匠の目なのです。