「力」こそパワー...ではありませんが、日本神話において物理的な腕力(筋力)で問題を解決し、世界に光を取り戻した神様がいます。それが天手力男神(アメノタジカラオ)。「タジカラオ」という名は「御手(みて)の力が強い男神」という意味です。その怪力は、巨大な岩の扉を九州の高千穂から長野県の戸隠山まで投げ飛ばしたほど。スポーツ選手や格闘家からも崇拝される、頼れるマッチョな神様の豪快な伝説を紹介します。
天岩戸神話での活躍
岩戸開きの立役者
弟スサノオの乱暴狼藉に心を痛めた太陽神アマテラスが天岩戸に引きこもり、世界が闇に包まれた時。八百万の神々は岩戸の前で宴を開いてアマテラスの気を引こうとしました。アメノウズメが踊り、神々が笑い転げる中、タジカラオは岩戸の脇(陰)で、腕を組みながらじっと出番を待ち構えていました。
豪快すぎる解決法
「外が賑やかなのは、私より尊い神が現れたからだ」と言われたアマテラスが、不思議に思って外の様子を覗こうと岩戸を少しだけ開けた、その瞬間でした。タジカラオはその怪力で岩戸を一気にこじ開け、アマテラスの手を取って強引に引きずり出しました。さらに、二度と閉じられないように岩戸を「えいやっ」と下界へ向けて投げ飛ばしました。その岩戸が飛んでいって落ちた場所が、現在の戸隠山(長野県)になったといわれています。地図で見るとものすごい距離ですが、神様のパワーに常識は通用しません。
ご利益と信仰
スポーツ・技芸の神
その伝説から、「力」や「スポーツ」「技芸向上」の神として信仰されています。長野県の戸隠神社(奥社)が総本社として有名であり、パワー(力)を授かりたいと願うアスリートや、災いを力強く払いのけたいと願う人々が全国から訪れます。また、柔道や相撲の道場などでも、力の神として大切に祀られています。
ゲームでのタジカラオ
物理特化の頼れる仲魔
『女神転生』シリーズや『ペルソナ』シリーズでは、一貫して「物理攻撃力が極めて高い」キャラクターとして登場。「チャージ」からの物理スキルで敵を粉砕する、見た目通りの性能でプレイヤーを助けます。
まとめ
知恵でも魔力でもなく、圧倒的な「腕力」で世界を救った天手力男神。何か困難な壁にぶつかった時、小細工なしに力ずくでもその「扉」をこじ開ける勇気とパワーを、彼から分けてもらえるかもしれません。