「一、二! 一、二! 貫いて(One, two! One, two! And through and through)」。少年はヴォーパルの剣を振るい、怪物の首をはね飛ばしました。この不思議な剣は、言葉遊びから生まれ、ゲーム界で恐ろしい能力を得ました。
意味不明な言葉から生まれた
ルイス・キャロルの造語
ヴォーパルソードは、『鏡の国のアリス』の中の劇中詩「ジャバウォックの詩」に登場します。作者のルイス・キャロルは多くの造語を使っており、「Vorpal(ヴォーパル)」という単語にも辞書的な意味はありませんでした。一説には「Verbal(言葉の)」と「Gospel(福音)」を混ぜたものとも、単に切れ味の鋭さを表す擬音とも言われていますが、その正体は謎のままです。
RPGでの「首切り」定着
ウィザードリィの功績
意味不明だったこの剣に明確な定義を与えたのは、古典的名作RPG『Wizardry』や『Dungeons & Dragons』です。原作で怪物の首を切り落とした描写から、ゲーム内では**「一定確率で敵の首をはねて即死させる」**という凶悪な特殊効果(クリティカルヒット)が与えられました。これにより、「ヴォーパル=首切り」というイメージがゲーマーの間に定着したのです。
どんな形をしている?
歪んだ波刃
原作の挿絵(ジョン・テニエル画)では、少年が持っている剣はこれといって奇抜な形ではありません。しかし、近年のファンタジー作品では、「常識(物理法則)がねじ曲がった世界(ワンダーランド)の武器」という解釈から、刀身が波打っていたり、空間を切り裂くようなエフェクトを纏っていたりと、禍々しいデザインで描かれることが多いです。
【考察】不条理を断ち切る力
ナンセンスへの対抗手段
アリスの世界は理不尽で意味不明(ナンセンス)な出来事に満ちています。そんな世界において、唯一「確実に結果(首切り)をもたらす」ヴォーパルソードは、混沌を断ち切る鋭い論理や理性のメタファーなのかもしれません。
まとめ
ザンネン、ザンネン、その首落ちた。ヴォーパルの剣は、どんなに巨大な怪物であっても、一撃で物語を終わらせる力を持った「結末の剣」なのです。