「西遊記」の孫悟空といえば、如意棒を振り回し、雲に乗って空を飛ぶ姿がお馴染みです。この雲こそが「筋斗雲(きんとうん)」。彼が師匠である須菩提祖師(すぼだいそし)から授かった、仙人級の超高速移動手段です。実はただの雲ではなく、悟空のためだけの特別な術なのです。
光速の雲タクシー
宙返りひとつで地球一周
「筋斗」とは宙返りのこと。とんぼ返り一つ打つ間に、十万八千里(約5万4000キロ)を移動できるとされています。地球一周が約4万キロですから、悟空は一瞬で地球の裏側まで行ける計算になります。三蔵法師の護衛中も、その気になれば一人で天竺まで行って帰ってこれたはずですが、それでは修行にならないので自重していたのでしょう。
誰でも乗れるわけではない
某有名漫画の設定としても有名ですが、本来の西遊記でも、筋斗雲の術を使いこなすには仙人の修行が必要であり、誰でもヒョイと乗れるものではありません。特に、重力から解放されるほど身軽であること(煩悩がないこと)が条件とされる場合もあります。
【考察】なぜ「雲」なのか
自由の象徴
雲は形を持たず、風のままに空を流れる「自由」の象徴です。天界のルールに縛られず、地上の重力にも縛られない孫悟空のキャラクター性を、これ以上なく表現しているアイテムと言えるでしょう。現代人にとっても、満員電車を避けて空を飛んでいきたいという願望は共通です。
まとめ
筋斗雲は、我々が一度は夢見る「どこへでもすぐに行ける自由」を具現化した乗り物です。空を見上げて奇妙な形の雲を見つけたら、それは誰かを乗せて飛んでいる最中かもしれません。