錫杖(Khakkhara / しゃくじょう) は、サンスクリット語で「カッカラ(音を出すもの)」を意味する、仏教僧の携帯品です。杖の上部に金属の輪(遊環)がついており、振ると「シャクシャク」と音が鳴ることからこの名がつきました。本来は山野を歩く際に音で毒蛇や猛獣を追い払うためのストックでしたが、次第に煩悩を払い、魔を退ける法具としての意味合いを強めていきました。
九環の錫杖
三蔵法師の装備
『西遊記』において、観音菩薩は三蔵法師に「錦の袈裟」と共に「九環の錫杖」を授けました。輪が9つついたこの錫杖は極めて格の高いものであり、「これを持つ者は毒に侵されず、虎や狼に襲われず、地獄に落ちることがない」とされました。旅の途中、三蔵はこの杖の輝きで何度も妖怪を威圧し、自身の高潔さを証明しました。
地蔵菩薩の力
地蔵菩薩は右手に錫杖を持っています。これは六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)を巡り、苦しむ人々を救うための「鍵」であり、錫杖を振ることで地獄の扉を開き、亡者を救い出すと信じられています。
まとめ
錫杖の音色は、迷える魂を目覚めさせる警鐘です。それは武力ではなく、慈悲と祈りの力で道を切り開く、聖なる導きの杖なのです。