「この盾がある限り、ローマは世界の覇者であり続ける」—。軍神マルスから授けられた聖盾アンキーレは、単なる防具ではなく、古代ローマ帝国の国家機密そのものでした。盗難を防ぐために「全く同じ形状の偽物を11個」作らせたという逸話は、この盾がいかに重要視されていたかを物語っています。
天から降ってきた神の盾
ヌマ王への神託
ローマ建国の伝説において、第2代王ヌマ・ポンピリウスの時代に疫病が流行しました。王が祈りを捧げると、天空から1枚の青銅の盾が舞い降りてきたといいます。これこそが軍神マルスの盾、アンキーレでした。
11枚のレプリカ作戦
予言者は「この盾がローマにある限り、ローマの繁栄は約束される」と告げました。あまりにも貴重なため、盗難を恐れたヌマ王は、名工マムリウスに命じて「真贋が見分けられないほど精巧な11枚の偽物」を作らせました。計12枚の聖盾はマルスの神官団(サリイ)によって厳重に管理され、祭礼の時だけ市中を巡行したとされています。
独特な形状と機能
8の字型のシールド
アンキーレは円形や長方形ではなく、側面が湾曲して窪んだ「8の字」や「ひょうたん型」に近い形状をしていたと伝えられています。これはミケーネ文明期の「8の字盾」の系譜を継ぐものであり、古代の戦争における実用性と象徴性を兼ね備えていました。
神威による守護
物理的な防御力以上に、アンキーレは「国家の守護結界」としての性質を持っています。所持する勢力に勝利をもたらすとされ、その神秘性はギリシャ神話のパラディオン(アテナの木像)と並び称されます。
現代作品でのアンキーレ
Fate/Grand Order
『FGO』では、シールダーのマシュ・キリエライトが持つ盾の概念礼装や、関連するエピソードで言及されることがあります。また、ターゲット集中や防御バフの象徴として扱われることが多いです。
ゲームにおける扱い
多くのRPGでは、物理耐性や魔法耐性を併せ持つ強力な盾として登場します。特に「呪い」や「即死」を防ぐ効果が付与されることも・
【考察】偽物に守られた真実
本物はどこへ?
12枚の盾は歴史の中で行方不明になりましたが、一説には「本物は未だにイタリアの何処かに眠っている」とか、「ローマの滅亡と共に天に帰った」とも言われます。偽物を大量に作るという人間臭いセキュリティ対策こそが、この神話にリアリティを与えているのです。
まとめ
アンキーレは、武力だけでなく「知恵」によって守られた聖遺物です。その伝説は、守るべきものを守るためには手段を選ばないローマ人の執念を今に伝えています。