「21歳までに21人を殺した」という伝説を持つ、西部開拓時代を代表するアウトロー、ビリー・ザ・キッド(本名ウィリアム・ヘンリー・マッカーティ・ジュニア)。あどけない少年のような笑顔と、冷酷なまでの射撃技術を併せ持った彼は、当時の新聞やダイム・ノヴェル(大衆小説)によって生前から英雄視されていました。法と正義が曖昧だった荒野の時代を、風のように駆け抜けた彼の短い生涯を追います。
リンカーン郡戦争
雇い主の復讐
10代で既に悪事に手を染めていたビリーでしたが、彼を変えたのはイギリス人牧場主ジョン・タンストールとの出会いでした。タンストールはビリーを雇い、目をかけましたが、商売敵の派閥によって殺害されてしまいます。復讐を誓ったビリーは「レギュレーターズ(自警団)」を結成し、壮絶な抗争「リンカーン郡戦争」へと身を投じます。この戦いで彼は数々の敵を撃ち殺し、その悪名を全米に轟かせました。
脱獄のマジシャン
ビリーは二度も逮捕されましたが、二度とも脱獄に成功しています。特に二度目の脱獄では、手錠を外し(手の関節を外したとも、看守の銃を奪ったとも言われる)、看守二人を射殺して堂々と馬で去っていくという離れ業を演じました。彼の神出鬼没さは、人々を熱狂させました。
早撃ちの天才
0.3秒の早業
彼の銃の腕前については数々の逸話があります。空き缶を空中に投げて地に落ちるまでに6発全て命中させた、鏡を見ながら背後の敵を撃ったなど、枚挙に暇がありません。愛銃はコルト・ライトニング(M1877)やウィンチェスターライフルなど諸説ありますが、彼の「早撃ち(クイックドロウ)」は、反射神経と動体視力が生み出す天性の才能でした。
パット・ギャレットとの決着
かつての友人であり、保安官となったパット・ギャレットによって、ビリーは追い詰められます。1881年7月14日、ニューメキシコ州フォートサムナーの友人宅に潜伏していたビリーは、暗闇の中で待ち伏せていたギャレットによって心臓を撃ち抜かれました。武器を手にしていなかったとも言われており、その最期があっけなかったからこそ、彼の伝説は完成したと言えるでしょう。
永遠の少年
聖痕としての少年性
ビリー・ザ・キッドの最大の魅力は、その「少年のまま死んだ」という事実にあります。大人社会の理不尽に反抗し、無法の世界で自身のルールのみに従って生きた姿は、青春の危うさと輝きそのものです。
Fateでのサンダラー
FGOでは、チャラ男風の言動の中に冷徹な現実主義を秘めたアーチャーとして登場。宝具「壊音の霹靂(サンダラー)」は、彼の早撃ちを極限まで昇華させたもので、カウンター攻撃として猛威を振るいます。可愛らしい外見と、時折見せる暗い瞳のギャップが、多くのマスターの心を撃ち抜いています。
まとめ
西部劇の時代が終わろうとする時、ビリー・ザ・キッドもまた荒野の彼方へと消えました。しかし彼の名は、自由奔放なアウトローの代名詞として、永遠にその地に刻まれています。