きらめく川の水面、甘い蜂蜜、黄金の輝き、そして恋のときめき。これらすべてを司るのが、愛と美の女神オシュンです。彼女はヨルバ神話における「愛」の具現化であり、ギリシャ神話のアフロディーテやローマ神話のヴィーナスに相当する存在です。ナイジェリアのオシュン川を住処とし、人生の甘美さ、喜び、そして繁栄をもたらします。しかし、彼女は単に美しいだけの女神ではありません。かつて神々が彼女を軽んじたために世界が干上がりかけたことがあり、彼女なしでは世界に生命が生まれ得ないことを知らしめた、強大な力を持つ母神でもあります。
甘美なる誘惑と繁栄
黄金と蜂蜜
オシュンは美しさを何よりも好み、常に鏡を持ち、鮮やかな黄色や金のドレスを纏っています。彼女への供物は、甘い蜂蜜、シナモン、オレンジなどです。彼女は人々、特に女性たちに魅力を授け、恋愛を成就させる力を持っています。また、商売繁盛(特にお金)の神でもあり、彼女に愛された者は物質的な豊かさを手に入れます。
癒やしの水
オシュン川の水は万病を癒やす聖水と信じられています。オショグボにある「オシュン・オショグボ聖林」は世界遺産にも登録されており、毎年行われる祭りでは多くの巡礼者が川の水を汲み、無病息災と繁栄を祈ります。
世界を救ったハゲワシ
神々の失敗
かつて男神たちが「女の助けはいらない」とオシュンを仲間外れにして世界を作ろうとしましたが、雨は降らず、作物は枯れ、大失敗に終わりました。困り果てた彼らは至高神オロドゥマレに教えを乞い、オシュンの協力が不可欠であることを知りました。
献身的な飛翔
謝罪を受けたオシュンは、孔雀に変身して至高神への伝令となりましたが、太陽の熱で美しい羽が焼け焦げ、ハゲワシのような姿になってしまいました。しかしその献身のおかげで雨は戻り、世界は救われました。美しい彼女が醜い姿になることを厭わずに世界を救ったこの物語は、彼女の真の美しさが「愛と犠牲」にあることを伝えています。
まとめ
オシュンは教えてくれます。人生には、苦しい労働や戦いだけでなく、愛し、笑い、美を楽しむ時間が必要なのだと。彼女の鈴の音が聞こえる時、私たちの心には希望の水が満ちてくるのです。