伊勢都彦と共に伊勢の地を治めていたとされる女神、伊勢都比売。彼女についての記録は非常に少ないですが、夫に寄り添い、共に風となって伊勢を去った物語は、古代のロマンを掻き立てます。国譲り神話の陰に隠れた、もう一人のヒロインとも言えるでしょう。歴史の勝者には語られない、敗者の美学がここにあります。
伊勢都彦のパートナー
陰と陽の風
伊勢都彦が力強い「神風」を象徴するなら、伊勢都比売は季節を運ぶ「穏やかな風」を象徴していたと考えられます。二柱で一対の風の神として崇められていたのでしょう。伊勢の地名の由来ともなった夫を支え、共に民を見守ってきた母性的な存在でもあります。
去りゆく女神
東の海へ
神武天皇の勅命を受けたアメノヒワシとの交渉の末、夫と共に国を譲ることを決意。彼女もまた大風を起こし、波濤を超えて東の常世の国へと飛び去ったと伝えられています。その潔い去り際は、伊勢の神々の誇り高さを感じさせます。彼女が去った後、伊勢にはアマテラスが鎮座することになりますが、土地の記憶は風の中に残っています。
まとめ
伊勢都比売は、伊勢の歴史の「if」を握る女神です。もし彼女たちが留まっていたら、伊勢神宮の形も違っていた一もしれません。風を感じる時、ふと彼女のことを思い出してみてください。