彼女が通った後には、廃墟と死体しか残らないと言われました。軍神アレスの妹であり、あるいは伴侶ともされる殺戮の女神エニューオー。戦術や正義ではなく、純粋な「暴力」と「流血」を体現する、ギリシャ神話でも最も血なまぐさい女神の実像に迫ります。
都市の破壊者
アレス以上の狂気
ホメロスは彼女を「都市を破壊する者」と呼びました。アレスが戦いの「勇気」や「力」も象徴するのに対し、エニューオーは戦いの「悲惨さ」「残酷さ」そのものです。さらに争いの女神エリスや恐怖の神フォボスと共に戦場に現れ、兵士たちを狂乱へと駆り立てました。
ローマ神話のベローナ
より崇拝された姿
ローマ神話では「ベローナ」と同一視されましたが、ローマでは彼女はより重要な戦争の女神として崇拝されました。彼女の神官たちは自らの体を傷つけ、血を捧げる激しい儀式を行ったと伝えられています。
まとめ
エニューオーは、戦争という行為が持つ、理性を超えた狂気と破壊衝動を神格化した存在であり、平和な時代においても人の中に潜む暴力性を想起させます。