赤い鳥居のお稲荷さん。その多くは神道の「宇迦之御魂神」を祀っていますが、お寺の稲荷(豊川稲荷など)では「荼枳尼天」という別の神様を祀っています。白狐にまたがり剣を振るうこの女神は、中世の武将たちが「魂を売ってでも力を借りたい」と願った最強の呪術神でした。
人食い魔女からの転身
ダーキニー
元はインドのカーリー女神に仕える「ダーキニー」という魔女の集団で、人間の心臓を好んで食べるとされていました。大日如来(または大黒天)によって調伏され、「死者の心臓なら食べてよい(つまり人の死期を予知できる)」という条件で仏教の守護神となりました。
日本での変容
狐=ダキニ
日本では、狐が農耕神の使いとされる一方、古墳や墓地に出没することから死を連想させ、この荼枳尼天と習合しました。その結果、「どんな願いも叶えるが、見返りが怖い」というダークヒーロー的な性格を持つ最強の現世利益神として、権力者たちに密かに崇拝されるようになりました。
まとめ
荼枳尼天は、人間の欲望を飲み込み、それを力に変える危うい魅力を持った神です。参拝するときは、生半可な気持ちではなく、強い覚悟を持って手を合わせましょう。