ケツァルコアトルス(Quetzalcoatlus)は、白亜紀末期の北米に生息していたアズダルコ科の翼竜で、史上空前絶後の「空飛ぶ巨人」です。翼開長は10〜12メートルにも達し、小型飛行機(セスナ機)並みのサイズを誇ります。地上に立った時の高さはキリンとほぼ同じ(約5メートル)で、見上げるような巨体が生きて空を飛んでいたとは信じがたいほどです。
なぜ巨体で飛べたのか
この常識外れの巨体で飛翔できた理由は、生物学的限界ギリギリまで突き詰められた軽量化と、特殊な離陸方法にあります。骨格は中空で極めて軽く、体重は大人数人分(70kg〜250kg程度)しかなかったと推測されています。離陸の際は、強靭な前足(翼の腕)を使って棒高跳びのように地面を強く押し、一気に空へ飛び出す「クアドルペダル・ローンチ」を行っていたことが、最新の生体力学研究で示唆されています。
死神のような捕食者
プテラノドンのような魚食性ではなく、ケツァルコアトルスは内陸部で生活していました。長い手足を使って地上を闊歩し、恐竜の幼体や小型の脊椎動物を、巨大なクチバシでついばんで丸呑みにしていました。現代のアフリカハゲコウのような生態ですが、そのスケールは比較になりません。まさに地上の小動物にとっての「空からの死神」でした。
翼竜の到達点と終焉
彼らは翼竜進化の最終段階に現れました。小型の翼竜は鳥類との競争に敗れて姿を消し、鳥類が参入できない「超大型」のニッチに進出したものだけが生き残っていたのです。しかし、その巨体ゆえに環境変化には脆く、白亜紀末の大量絶滅と共に姿を消しました。
まとめ
ケツァルコアトルスは、地球の重力に逆らって進化がどこまで到達できるかを示した記念碑的な生物です。その巨大な翼は、私たちに生命の無限の可能性を感じさせてくれます。