イクチオサウルス(Ichthyosaurus)は、ジュラ紀(約2億年前〜1億9000万年前)の海に生息していた魚竜(ぎょりゅう)です。「魚のトカゲ」という意味の名を持ち、その名の通りイルカやマグロにそっくりな流線型の体をしていました。爬虫類が海へ戻り、魚のような姿に収斂進化した典型例です。
卵ではなく赤ちゃんを産む
イクチオサウルスは、爬虫類でありながら卵を産むために陸に上がることをやめ、海中で直接子供を産む(胎生)能力を獲得していました。化石の中には、母親の胎内にいる胎児や、まさに出産中の瞬間(尾から出てきている)を捉えたものが残っており、完全な水生生活への適応を証明しています。
巨大的な目
彼らの目は非常に大きく、強膜輪という骨のリングで守られていました。これは、光の少ない深海や夜間でも獲物を見つけるための適応であり、視覚に頼ったハンターだったことを示しています。イカや魚を高速で追いかけて捕食していました。
メアリー・アニングの発見
1811年、当時12歳だったメアリー・アニングとその兄によって、イギリスのライム・リージスで最初の全身骨格が発見されました。この発見は、恐竜という言葉が生まれる前の科学界に「絶滅した巨大爬虫類」の存在を知らしめる衝撃的なデビューでした。
まとめ
イクチオサウルスは、イルカの出現する遥か昔に、同じニッチを占めていた海の住人です。その姿は、環境が同じなら生物は同じような形に進化する(収斂進化)という法則を美しく示しています。