ガストルニス(Gastornis)は、恐竜が絶滅した後、哺乳類がまだ小型だった時代の森林地帯に生息していた巨大な飛べない鳥です。かつては「ディアトリマ」という名前でも知られていました。分厚く巨大なくちばしと太い脚を持ち、フォルスラコスと並んで「恐竜の後継者」として地上の生態系に君臨しました。
肉食か植物食か?
長年、その巨大なくちばしは獲物の肉を引き裂くための武器であり、ガストルニスは獰猛な肉食動物だと考えられてきました。しかし最近の研究では、くちばしの構造が肉を切るよりも硬いものを割るのに適していることや、筋肉の痕跡、カルシウム同位体の分析などから、「実は硬い木の実や種子を食べる植物食だった」という説が有力視されています。とはいえ、機会があれば小動物を襲う雑食性だった可能性も捨て切れません。
森の巨人
がっしりとした体格で、頭の大きさは馬ほどもありました。翼は小さく退化していましたが、脚は非常に太く強力で、森の中を歩き回るのに適していました。鮮やかな羽毛を持っていれば、深い森の中でよく目立ったことでしょう。彼らは当時の哺乳類(ヒラコテリウムなどのウマの祖先)にとっては、見上げるような圧倒的な存在でした。
時代の変化
ガストルニスは数千万年にわたり繁栄しましたが、やがて肉食哺乳類(ヒエノドンなど)が大型化・多様化し、環境が森林から草原へと変化していくにつれて姿を消しました。彼らは「鳥類が地上の覇権を握った短い時代」の象徴とも言えます。
まとめ
ガストルニスは、恐竜なき後の地球で鳥類がいかに適応放散したかを示す素晴らしい例です。その正体が凶暴なハンターであれ、平和な木の実食いであれ、威厳ある巨鳥だったことに変わりはありません。