ユーステノプテロン(Eusthenopteron)は、約3億8500万年前(デボン紀後期)のカナダなどに生息していた肉鰭類(にくきるい)の魚です。かつては「両生類の直接の祖先」として教科書に載っていましたが、現在は「四足動物に近い親戚」という位置づけです。しかし、その体の構造が四足動物への進化の鍵を握っていることに変わりはありません。
手足の原型
胸ビレと腹ビレの中には、ヒトの上腕骨、橈骨、尺骨(または大腿骨、脛骨、腓骨)に相当する骨がそろっていました。さらに強力な筋肉もついており、これを使って水底を這ったり、障害物を乗り越えたりしていました。これが後に陸上を歩く「足」へと進化していく基礎となりました。
肺呼吸の獲得
エラ呼吸だけでなく、食道の一部が変化した「肺」を持っており、空気呼吸が可能でした。これにより、酸素の少ない淀んだ水域でも生き延びることができました。また、内鼻孔(口の中につながる鼻の穴)を持っており、口を閉じたまま呼吸ができました。
モデル生物
保存状態の良い化石が多数見つかっており、内臓の痕跡まで研究されています。私たちの体の基本設計図(ボディプラン)が、魚の時代にどのように作られたかを知るための最も重要なモデル生物の一つです。
まとめ
ユーステノプテロンは、水から陸への大冒険を準備した魚です。彼らのヒレの中に、未来の人類の腕の設計図が隠されていたのです。