ディモルフォドン(Dimorphodon)は、ジュラ紀前期(約1億9500万年前)のイギリスに生息していた、非常にユニークな姿をした翼竜です。学名は「二形の歯(2種類の異なる歯)」を意味します。映画『ジュラシック・ワールド』では、群れで人間を襲う狂暴な小型翼竜として描かれ強烈な印象を残しましたが、実際の彼らは、映画以上に奇妙で、そして愛嬌のある姿をしていました。
頭でっかちのアンバランス
ディモルフォドンの最大の特徴は、その奇妙なプロポーションです。体長や翼の大きさに比べて、頭骨が不釣り合いなほど巨大で、横から見るとパフィン(ニシツノメドリ)のような四角い顔をしていました。しかし、この頭骨は内部が空洞になっており、見た目とは裏腹に非常に軽量でした。翼開長は約1.4メートルで、長い尾を持っており、その先端にはダイヤ型の皮膚の膜(ベーン)が付いていました。
名前の由来となった歯
口の前半部分には獲物を逃さないための長く鋭い牙が数本あり、奥の方には獲物を細かく噛み砕くための小さな歯がびっしりと並んでいました。この「使い分けできる歯」こそが学名の由来です。この歯を使って、昆虫やトカゲ、小さな哺乳類などを食べていたと考えられています。魚を食べていたという説もありますが、最近の研究では陸上の動物を主に狙っていた可能性が高いとされています。
空飛ぶ不器用さん?
プテラノドンのような滑空に適した長い翼ではなく、丸みを帯びた短い翼を持っていました。これは彼らが長距離を優雅に飛ぶよりも、キジやライチョウのように、短い距離をバタバタと羽ばたいて木から木へ移動したり、地上を逃げたりする飛び方をしていたことを示唆しています。また、手足の爪が鋭く、木登りや地上走行も得意だったようで、空の支配者というよりは「空も飛べる森の住人」といった生態でした。
まとめ
ディモルフォドンは、翼竜が「空の絶対王者」になる前の、試行錯誤の段階に見られる多様性を示す種です。そのコミカルな姿には、厳しい生存競争を生き抜くための彼らなりの工夫が詰まっていました。