アルシノイテリウム(Arsinoitherium)は、約3000万年前(始新世末期から漸新世初期)のエジプト・ファイユーム地方に生息していた、サイに似た大型哺乳類です。学名は発見地近くの宮殿に住んでいた古代エジプトの王妃アルシノエにちなんでいます。サイに似ていますが、ゾウやジュゴンに近い「重脚目」という絶滅したグループに属します。
巨大な2本の角
最大の特徴は、鼻の上に並んで生えた、長さ1.5メートルにもなる一対の巨大な角です。この角は骨でできていますが、内部は空洞になっており、見た目ほど重くはありませんでした。表面には血管の通る溝があり、角質で覆われていたと考えられます。武器としてだけでなく、共鳴室として大きな鳴き声を上げたり、異性へのディスプレイに使われたりしました。目の上にも小さな角が一対ありました。
湿地帯の生活
体長は約3メートル、肩高1.8メートルと大型の動物でした。足の指は5本あり、平たく広がっていたため、柔らかい湿地帯やマングローブ林を歩くのに適していました。カバのように半水生の生活を送り、水辺の柔らかな植物を食べていたようです。
孤立大陸の進化
当時、アフリカ大陸は海によって他の大陸から孤立しており、アルシノイテリウムのようなユニークな哺乳類が独自の進化を遂げていました。彼らはその「アフリカ獣類」の代表選手であり、他の場所では見られない奇妙な姿をしています。
まとめ
アルシノイテリウムは、サイのようでサイではない、アフリカ独自の進化が生んだ怪物です。その姿は、大陸移動と生物進化の密接な関係を教えてくれます。