アノマロカリス(Anomalocaris)は、約5億年前のカンブリア紀の海に君臨した、当時としては世界最大の捕食者です。「奇妙なエビ」を意味するその名は、発見当初、触手の化石がエビの尾部だと誤認されたことに由来します。バージェス動物群の代表的な生物であり、カンブリア爆発の象徴でもあります。
最初の頂点捕食者
当時の生物の多くが数センチ程度だった中、アノマロカリスは最大で1メートル(触手含む)にも達しました。頭部の前方には棘のある2本の「大付属肢(触手)」があり、これで三葉虫などの獲物を捕らえていました。口はパイナップルの輪切りのような円形をしており(かつてはクラゲと誤認された)、硬い殻を噛み砕く、あるいは肉を吸い込む構造になっていました。
高度な複眼
頭部の両側には柄のついた大きな複眼があり、それぞれ1万6000個ものレンズを持っていました。これは現代のトンボに匹敵する解像度であり、カンブリア紀の海では圧倒的な視力を誇りました。「眼の誕生」が、獲物を見つける能力と逃げる能力の進化競争(軍拡競争)を引き起こし、生物の多様化を加速させたという説の主役です。
優雅な遊泳
胴体の側面にはヒレが並んでおり、これを波打たせることで、エイのように優雅に、かつ高速で泳ぐことができました。海底を這う生物ばかりだった時代に、立体的に海を支配した最初の生物です。
まとめ
アノマロカリスは、地球生命史における最初の「王者」です。その異形な姿は、進化の初期段階における生命の創造力の爆発を今に伝えています。