インドの古い寺院を訪れると、柱の彫刻として、後ろ足で立ち上がり、今にも飛びかかってきそうな猛獣の姿をよく目にします。それはライオンのようですが、よく見ると象の牙や鼻を持っています。この守護獣の名は「ヤーリ(Yali)」です。
最強の守護獣
象を踏みつける獅子
ヤーリ(別名ヴィヤーラ)は、ライオンの体に、象の鼻や牙、時には馬の尾などを持つ合成獣(キメラ)です。その力は百獣の王ライオンや、地上最強の象をも凌ぐとされ、しばしば象を踏みつけている姿で描かれます。これは「力(象)」を「より強大な力(ヤーリ)」が抑え込むことで、聖域の平穏を守ることを意味しています。
魔除けの柱
南インドの建築様式において、ヤーリは魔除けとして非常に重要です。入口の両脇に立つことで、悪霊や邪悪な心が寺院に入り込むのを防いでいるのです。
変幻自在の姿
顔のバリエーション
ヤーリにはいくつかの種類があります。
- シンハ・ヤーリ: ライオンの顔(最も一般的)
- ガジャ・ヤーリ: 象の顔
- アシュヴァ・ヤーリ: 馬の顔 それぞれが異なる動物の長所を併せ持ち、神聖な力を発揮します。
日本への影響?
狛犬の遠い親戚
東洋の獅子(狛犬・シーサー)のルーツの一つとも考えられます。強力な獣が入口を守るという概念は、シルクロードを通ってアジア全域に広がりました。
ゲームでの登場
『ファイナルファンタジー14』や『ペルソナ』では、東洋風の強力な幻獣として登場。石像が動き出したかのような重厚なデザインで描かれることが多いです。
【考察】力の極致
理想の猛獣
インドの人々にとって、ライオンの獰猛さと象の重量級パワーを合わせた生物こそが、神の家を守るにふさわしい「最強の番犬」だったのでしょう。
まとめ
ヤーリは、石に刻まれた動かぬ守護者ですが、その躍動感ある姿は、インドの人々の信仰心の熱さを今に伝えています。